| 13日(日) | 14日(月) | 15日(火) | 16日(水) | 17日(木) | 18日(金) | 19日(土) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 未定 | 未定 | 未定 | 未定 | 未定 | 未定 | 未定 |

| 肩書き | あと111日 |
|---|---|
| スタイル | T174 |
| 血液型 | B型 |
| 出身地 | 静岡県 |
| 入店日 | 2019年2月18日 |
ほくろ
紫色
声
バスケットボール
気持ち
音楽鑑賞、読書
芋けんぴ
タイタニック
美術館
可能性
体型維持のためのウォーキングと筋トレ
読書
第3話 ぬくもり
向き合う必要があった過去。そこには、父が生きていた時間がある。記憶の中にいる父は、病院のベッドで横たわる人ではない。家族思いで仕事熱心。器用で賢く、何でも卒なくこなしてしまうお父さん。父は毎朝、バイクで通勤していた。保育園の送迎バスが来る場所まで、父の後ろに乗せてもらう。小さな両腕で父の背中にじっとしがみつき、風を受けながら走る数分間。不思議と景色は覚えていない。覚えているのは、落ちないよう必死で抱きついていた感覚だけだった。もし、あの頃へ戻れるなら。もう一度だけ、父のぬくもりを感じてみたい。父は音楽が好きだった。家には大きなステレオがあり、レコードが何十枚も並んでいた。朝日が部屋いっぱいに差し込んでいたその日。父はレコードに針を落とし、ごほうびの童謡を流してくれた。部屋中に響く音は、幼い私には少し大きすぎるくらい。けれど、その迫力が嬉しかった。音楽が聞こえるその部屋は、私にとって特別な場所だった。床には、毛足の長い絨毯が敷かれていた。その柔らかい感触が好きで、指先でくるくると毛を巻いては遊んでいた。ある日、ふと手を止める。目の前で、父と母がゆっくりとチークダンスを踊っていた。肩を寄せ合い、微笑みながらリズムを刻む二人。私はただ、その様子を眺めていた。何気ない光景だった。けれど、今振り返れば、あれ以上に幸せな時間はなかったのかもしれない。私の部屋は、ステレオがあった部屋のちょうど真上。階段を昇りきった先にあった。夜になると、階段は真っ暗になる。幼い私には、まるで長いトンネルのように思えた。一人では怖くて上がれない。そんな私を抱き上げてくれた父は、そのままベッドまで運び、布団を掛け、眠るまでそばにいてくれた。父がいる。だから、私は安心して眠ることができた。その安心が永遠ではないことを知ったのは、六歳の冬だった。創作大賞2026 応募作「実録 私の可能性」
検査結果の日。
大学病院は、人であふれているものだと思っていた。けれど、午後の遅い時間だったせいか、外来は驚くほど静かだった。のっぺりとした壁。長い廊下。等間隔に並んだ待合椅子。どこか遠くから聞こえる話し声だけが、静かな空間に響いている。私は診察室の前に腰を下ろした。座っていても落ち着かない。何度も時計を見る。手のひらにはじんわりと汗がにじんでいた。予約の時間になった。けれど、呼ばれたのは私ではなかった。「もう少しお待ちください。」診察室のドアが開き、先生がそう声をかける。(あれ……?)(順番なら、次は私のはずだったのに)ドアは閉まった。診察室の前に取り残された私は、妙な胸騒ぎを感じた。壁一枚隔てた向こう側で、先生が誰かと話をしている。(この扉を開けた先で、私は何を知るのだろう)診察室の扉を見つめながら、一人ぽつんと、自分の名前が呼ばれるのを待っていた。創作大賞2026 応募作「実録 私の可能性」
私はようやく気づいた。
怖かったのは、病気だけではなかったこと。父が倒れたあの日から、幼い私もずっと怖かったのだ。何が起きているのか分からず、大好きだった父が別人のようになっていく姿。何もできないまま、時間だけが過ぎていく毎日。あの子は、ずっと一人で耐えていた。退院の日。朝の病棟はまだ静かだった。術後の傷をかばいながら、ゆっくりと廊下を歩く。一歩踏み出すたびに、生きていることを体が思い出していくようだった。その時、ふと心に浮かんだ。(自分の可能性を活かす生き方をしたい)将来への不安が、消えたわけではない。再発への恐怖も、なくなったわけではない。それでも、生き延びた先で何をしたいのかだけは、はっきりと見えた気がした。数ヶ月の療養を終え、私は少しずつ社会へ戻っていった。一方で、心のどこかではこんな声も聞こえていた。(もう挑戦しなくていいよ)(病気だったのだから、無理をしなくてもいい)けれど、押し込めたはずの夢が、静かに息を吹き返していった。忘れたふりをしても、心だけは覚えていたのだ。第2話 しこり 振り返れば、いくつもの偶然が重なっていた。たまたま受けた、人生初の人間ドックで見つかったこと。小さいうちに発見できたこと。迷わず精密検査を受けたこと。そして、紹介された大学病院で診てもらえたこと。どれか一つでも欠けていたら、今とは違う未来が胸をよぎる。精密検査の日。受付を済ませると、私は内科へ案内された。ところが、ほどなくして名前を呼ばれたかと思うと、「外科へお願いします。」受付の人は事務的な口調でそう告げた。(どうして外科なんだろう)病気のことなど何も知らなかった私は、その一言だけで胸がざわついた。(体の中で何が起きているの?)そんな不安を抱えたまま、私は検査を受けて帰宅した。 結果が出るまでの数日間。何をしていても、頭の片隅には「腫瘤」という言葉が居座っていた。気づけばスマートフォンを手に取り、「腎臓」「腫瘤」と検索。安心したい、その一心だった。けれど、画面に並ぶ情報を読むほど、不安は大きくなるばかり。大丈夫かもしれない、いや、悪い病気かもしれない。期待と不安を行き来しながら、私は何度も検索画面を閉じては、また開いた。創作大賞2026 応募作「実録 私の可能性」